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2013年2月16日 (土)

急性腎障害(AKI)グループ (2013/02/16)

急性腎傷害 (AKI)の発生頻度は年々増加しており、生命予後に直接関与する重大な疾患として、その対策の重要性が注目されています。

Fig3
1.AKIと肺・腎連関
血液浄化療法の導入が必ずしもAKIの予後改善に寄与していないことも臨床的に報告されており、心臓・肺・脳・肝臓といった様々な遠隔主要臓器の傷害が連続して、かつ同時に発生することが、生命予後不良の原因の一つとして考えられています。このため、AKIの治療に当たっては、腎保護・腎代替療法の適応を考慮するだけでなく、上記主要臓器傷害の発症の可能性を常にモニタリングする必要があります。
当研究室では、AKI発症時の臓器連関として肺に着目し、非心原性肺水腫の病態であるALI/ARDS患者におけるAKIの意義ならびに病態を明らかにする臨床研究を進めています。
2.新規AKIバイオマーカーの開発
AKIにおいて、急性の僅かな血清Cr上昇が生命予後を悪化させる事実からAKIの疾患概念が定着し、より早期・軽症の段階で治療介入する必要性から、血清Crに替わるより鋭敏なバイオマーカーの開発が急務となっています。世界的にも尿バイオマーカーの探索と検証が精力的に行われており、単独のバイオマーカーではその目的の達成が困難であることが推定され、それらのパネル化の検証と実用化を目指したプログラムが推進されています。
現在、AKIの(I)鑑別診断能・(II)早期診断能・(III) 予後推定能のそれぞれのカテゴリーに関して、NGAL,IL-18,L-FABP, KIM-1などの新規バイオマーカーの有用性が報告され、臨床応用に向けた期待が高まっています。
我々は、尿中midkine がこれらのマーカーと同様のポテンシャルを有することを報告していますが、AKI の診断に関して、個々のマーカーには限界があり、複数のマーカーの組み合わせによるパネルモデルの作成が重要であると考え、その有用性について検討しています。
【共同研究先】
慶應義塾大学先端生命科学研究所
名古屋大学大学院医学系研究科腎臓内科学講座
藤田保健衛生大学医学部腎・泌尿器外科学
藤田保健衛生大学医学部麻酔・侵襲制御医学教室
沖縄工業高等専門学校生物資源工学科
【特許】
【PCT/JP2009/000863(WO)】“急性腎障害及び予後推進用バイオマーカー並びにその用途” 発明者:湯澤由紀夫、林宏樹、松尾清一、出願人:国立大学法人名古屋大学, 2009
【Publications】
Yasuda K, Ozaki T, Saka Y, Yamamoto T, Gotoh M, Ito Y, Yuzawa Y, Matsuo S, Maruyama S.  Autologous cell therapy for cisplatin-induced acute kidney injury by using non-expanded adipose tissue-derived cells. Cytotherapy. 2(1):159-68, 2012
Kato K, Kosugi T, Sato W, Arata-Kawai H, Ozaki T, Tsuboi N, Ito I, Tawada H, Yuzawa Y, Matsuo S, Kadomatsu K, Maruyama S. Growth factor Midkine is involved in the pathogenesis of renal injury induced by protein overload containing endotoxin. Clin Exp Nephrol. 15(3):346-54 2011
湯澤由紀夫, 林宏樹. 【AKI】 AKIの診断とバイオマーカー. 腎臓. 2011; 34(2): 88-95.
湯澤由紀夫. 生活習慣病とガスメッセンジャー. Therapeutic Research. 2012; 33(2): 207-8.
湯澤由紀夫. 慢性腎臓病と急性腎傷害における臓器連関. 日本透析医会雑誌. 2011; : 347-50.
林宏樹, 湯澤由紀夫. 【ICU/CCUにおけるステロイド使用の是非】 急性腎傷害におけるステロイド使用の是非. ICUとCCU. 2011; 35(8): 649-56.
土井俊夫, 鈴木大輔, 宇津貴, 湯澤由紀夫, 近藤麻紀子, 岸誠司. 【腎障害をきたす全身性疾患-最近の進歩】 慢性腎臓病をきたす全身疾患 最近の進歩. 日本内科学会雑誌. 2011; 100(5): 1344-63.
林宏樹, 湯澤由紀夫. 【これから期待できるバイオマーカー】 AKIにおけるバイオマーカー. 腎と透析. 2011; 70(2): 163-70.
林宏樹, 湯澤由紀夫. 【急性腎障害(AKI)の診療】 各論-機序 AKIにおける肺腎連関. Modern Physician. 2011; 31(1): 34-38.
湯澤由紀夫, 林宏樹. 【AKI: 臨床とバイオマーカーの基礎】 急性腎障害における臓器連関とバイオマーカー. 腎と透析. 2011; 70(2): 276-83.
湯澤由紀夫, 林宏樹, 松尾清一. 【腎不全を診る】 急性腎不全とバイオマーカー. 綜合臨床. 2010; 59(6): 1366-71.
林宏樹, 湯澤由紀夫, 松尾清一. 【急性腎不全 診断と治療の進歩】 診断へのアプローチ. 日本内科学会雑誌. 2010; 99(5): 930-7.
林宏樹, 湯澤由紀夫, 松尾清一. 【AKIの重要性を探る 急性腎障害という新しい概念】 AKIの尿surrogate markerは. 腎と透析. 2010; 68(3): 345-53.

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